内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)とは?
内部通報制度に関する認証制度検討会 報告書
内部通報制度の実効性を向上させるため、事業者に対するインセンティブとして、優れた内部通報制度を整備・運用する企業を評価する認証制度の導入が提言されていたところ、平成30年4月に「内部通報制度に関する認証制度検討会」から、認証制度の導入方法の検討結果が公表されました。
この報告書においては、
- 事業者自らが自身の内部通報制度を審査した結果を登録する「自己適合宣言制度」と、中立公正な第三者機関が事業者の内部通報制度を審査・認証する「第三者認証制度」を導入することが適当であること
- それらの円滑な導入・運用を図るため、まずは比較的簡便な自己適合宣言制度の導入から行い、その運用状況をふまえつつ、第三者認証制度を導入していくことが適当であること
が明記されました。
なお、この認証制度の名称は、「内部通報制度認証」(Whistleblowing Compliance Management System 認証:WCMS 認証)等とすることが考えられるとされていましたが、その後の説明資料等においてもこの名称が使われています。
内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)
その後、平成30年7月13日において、消費者庁により、「内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)実施要綱」が示され、「指定登録機関」(内部通報制度認証の運営を統括する者として、指定者(消費者庁)が指定した機関であって、自己適合宣言の登録、WCMSマークの使用許諾その他必要な業務を行う機関)の公募がなされました。
「自己適合宣言登録制度」とは、事業者の内部通報制度を当該事業者自ら評価した結果、「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する 民間事業者向けガイドライン」(平成28年12月9日)に基づく内部通報制度認証基準に適合していることを、当該事業者自らが認める場合において、当該事業者からの申請に基づき、指定登録機関が当該結果を登録し、所定のWCMSマークの使用を許諾する制度、をいいます。
すなわち、民間事業者は、指定登録機関に対して、自己適合宣言の登録申請を行い、登録を受けた場合、WCMSマークの使用ができることとなります。
この度、平成30年12月19日付で、この指定登録機関として、公益社団法人 商事法務研究会が指定されました。(なお、現段階では、内部通報認証制度の柱である「第三者認証制度」の詳細については明らかにはなっていませんが、2019年度以降に実施されるとのことです。)
実効的な内部通報制度を整備・運用することにより、ステークホルダーからの評価や信頼を得て、結果的に自社の企業価値向上に資する可能性があります。それだけではなく、「実効的な」内部通報制度を整備することにより、不正・不祥事を早期に発見すること、ひいては不正・不祥事の発生を未然に防止することができる可能性もあります。
企業としては、今後整備される「内部通報制度認証」に対して、どのように対応するのか、検討しておく必要があるでしょう。