グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針(グループガイドライン)の公表 (2/2)
実務指針の構成
本実務指針は、
- グループ設計の在り方
- 事業ポートフォリオマネジメントの在り方
- 内部統制システムの在り方
- 子会社経営陣の指名・報酬の在り方
- 上場子会社に関するガバナンスの在り方
に分けて、各社の取り組み例とともに、留意すべき点がまとめられています。
内部統制システムの在り方
本実務指針では、「グループとしての中長期的な企業価値向上のため、内部統制システムの在り方は重要な課題である」ところ、内部統制の意義を、「守りのガバナンス」にとどまらず、「『事業戦略の確実な執行のための仕組み』と捉え直す視点が重要」とされています。
内部統制システムの目的は、①「業務の有効性及び効率性」といった、「攻め(企業価値向上に資する)」側面と、②「財務報告の信頼性」や「法令等の遵守」といった、「守り(企業価値の毀損を防ぐ)」という側面があります。
本実務指針では、ともすれば守りの側面に焦点が当たりがちであった内部統制システムにおいて、攻めの側面とのバランスに配慮すべきである、という問題意識が見られます。
守りのガバナンスの重要性
とはいえ、実効的な内部統制システム構築の在り方として、3線ディフェンスの重要性や、内部統制システムにおける監査役等の役割の重要性として、内部監査部門からの業務執行ラインに加えて、監査役等にも直接のレポートラインを確保し、とりわけ経営陣の関与が疑われる場合には、監査役等へのレポートラインを優先することを定めておくことを検討されるべきとされており、守りのガバナンスの重要性に配慮されています。
前述のとおり、上場企業としては、グループ会社全体として、不正・不祥事を防止するための実効性のある取組みを検討していく必要があります。