会社法改正法の成立(6)~ 役員等賠償責任保険契約に関する規律の整備

役員等賠償責任保険(D&O保険)とは

 役員等賠償責任保険(D&O保険)とは、取締役に対して損害賠償請求がされることにより被る損害を填補するための保険をいいます。

 現行法上は,D&O保険への加入について直接に定めた規律はありませんでした。このようなD&O保険に加入することについては,会社と役員の間には利益相反関係が生じ得ます。

 改正会社法では、D&O保険に加入するために必要な手続規定等が新たに設けられました(改正会社法430条の3)。

株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議

 株式会社が、保険者との間で締結する保険契約のうち役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が塡補することを約するものであって、役員等を被保険者とするもの(役員等賠償責任保険契約(D&O保険))の内容の決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければなりません(改正会社法430条の3第1項)。

 この場合、第356条第1項及び第365条第2項(利益相反取引の制限)並びに第423条第3項(利益相反取引のに関する任務懈怠の推定)の規定は、株式会社が保険者との間で締結する保険契約のうち、役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が塡補することを約するものであって、取締役又は執行役を被保険者とするもの(D&O保険)の締結については、適用しないこととされています(改正会社法430条の3第2項)。

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