公益通報者保護法の改正法案 1
改正の背景
公益通報者保護法の制定から、10年以上が経過しました。しかし、近年も、事業者における不正・不祥事が後を絶ちません。内部通報制度が機能していなかったことにより、その発覚が遅れ、社会問題化する事例も数多くあります。
大企業では、比較的、内部通報制度の整備は進んだものの、中小企業での制度整備は未だ不十分といわれています。
大企業においても、内部通報者に対して不利益な取扱いが行われ、制度の信頼性を害するような事例も発生しています。
このため、公益通報者保護制度の実効性の確保や向上が、課題となっていました。
公益通報者保護法の一部を改正する法律
このような問題意識から、「公益通報者保護法の一部を改正する法律」が、令和2年3月6日に提出されました。
同法は、同年5月22日に衆議院において修正議決され、同年6月8日に参議院において全会一致で可決、成立しました。その後、同年6月12日に、令和2年法律第51号として公布されています。
なお、同法は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において、政令で定める日から施行されることとなっています。
改正法の内容
改正法の具体的な内容は、
- 事業者自ら不正を是正しやすくするとともに、安心して通報を行いやすくする目的での改正
- 行政機関等への通報を行いやすくする目的での改正
- 通報者がより保護されやすくする目的での改正
に分類することができます。