内部通報制度の整備の必要性 ~ 公益通報者保護法の改正 1
内部通報は、通常のレポートラインでは入手できない情報、特に不正や不祥事に係る情報を取得するために有効な手段です。従って、不正・不祥事を「早期に発見」するために、適切に整備しておく必要があります。
さらに、不正・不祥事の早期発見に資する有効な内部通報制度を導入することは、不正・不祥事を「未然に防止」することにつながります。
有効な内部通報制度を構築するためのポイントは、「通報を受ける」時、そして通報を受けての「調査」の時に、いかに通報者の匿名性を確保するかという点です。
平成28年12月には、「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する 民間事業者向けガイドライン」が改正されました。これは、旧ガイドラインから約10年ぶりの改正です。その後、国や地方公共団体の通報対応に関するガイドラインも改正等がなされました。
このような動きに対応して、現在、公益通報者保護法の改正の議論が進んでいます。平成30年1月から、内閣総理大臣による諮問を受けて、公益通報者保護専門調査会における調査審議が再開されています。
直近では、平成30年9月19日に、第19回専門調査会が開催されていますが、7月18日に開催された第17回専門調査会では、中間的な論点整理がなされています。これは、再開後8回の審議を行ってきた検討項目について、おおむね方向性が示された論点と、今後の検討課題として残されている論点を整理したものです。
この中間整理では、以下のような論点について整理されています。
- 不利益な取り扱いから保護する通報者の範囲
- 行政による調査措置義務の対象となる通報者の範囲
- 通報対象事実の範囲
- 切迫性の要件
- 外部通報の保護要件
- 通報を裏付ける資料の収集行為に関する責任
- 通報体制の整備
- 守秘義務
- 行政通報の一元的窓口の設置
- 2号通報としての保護の対象となる通報先の拡張
- 不利益取り扱いに関する紛争解決手続
- 不利益取り扱いをした事業者に対する行政措置、刑事罰
まだ、中間整理(案)の段階ですが、実務上重要と思われる点について、いくつかコメントしたいと思います。